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今月の立ち読み

未来に語り継ぎたい名馬物語

「未来に語り継ぎたい名馬BEST100」の上位馬を1頭ずつ紹介する当連載の27回目は、「天馬」と称されたトウショウボーイ。1970年代半ばにテンポイント、グリーングラスとともに「TTG時代」を作り、幾多の名勝負を繰り広げた歴史に残る名馬だ。
※年齢は新表記(満年齢)で統一しています。

 競走馬としての2年間、類まれな才能を発揮し、主役であり続けた名馬。

 現役引退後は三冠馬ミスターシービーを世に送り出し、父としても偉大な足跡を残した名馬。

 トウショウボーイ。

「未来に語り継ぎたい名馬」の27位。

 この順位がトウショウボーイへの評価とイコールでないことは理解しても、もう少し上位にランクされてもいいのではないか。そんな思いがある。同世代で、ともに一時代を築いたテンポイントは14位。その非業の最期がファンの心に深く刻まれている結果と容易に想像できるが、それにしても…。

 40年前、威風堂々とターフを疾走する彼をリアルタイムで目撃した人は、すでに人生の折り返し地点を通り過ぎている。ここらで立ち止まり、“天馬”と過ごした懐かしい日々を思い出してみようか。

元祖アイドルホースに代わる
スターの誕生が不可欠だった

 あの頃。1970年代半ば。競馬を取り巻く雰囲気は様変わりした。単なるギャンブルの域を超え、多くの人たちが参加する“健全な遊び”へと変わった。いや、正確には変わりつつあった、というべきだろう。

 その立役者はハイセイコーだった。

 この世界にはじめて登場したスーパーアイドル。彼の走りを見るために、それまで競馬にまったく関心を示さなかった“新しいファン”が競馬場に集い、声援を送り、テレビの前で拍手した。

 第1次競馬ブームと呼ばれる社会現象。

 やがて鍛え抜かれた競走馬の走る様を目の当たりにし、その魅力を確認した人たちは、たとえば、アスリートが覇を競い、その勝敗に一喜一憂するスポーツのような身近な存在として競馬を認知する。

 ファンの数が飛躍的に増え、その裾野も広がると同時に、楽しみ方も多様化した時代。余談だが、当時の中央競馬のキャッチフレーズは「競馬は遊びの一つです。遊びの主役はあなたです」だった。まさにタイムリーなコピーだと思う。

 75年1月、ハイセイコーの引退式が東京競馬場で行われた。これを機にそれまでの異常な熱気は失われたものの、新しいファンは自分なりの流儀で競馬と付き合うことにした。ただし、ブームを定着させ、日常にするためにはハイセイコーに代わるスターの誕生も不可欠だった。

 そんな空気を察したかのように引退式から1年後、同期のライバルたちより少し遅れて登場したのがトウショウボーイだった。もちろん、デビュー戦に臨んだばかりの若駒。いきなり注目されたわけではない。1番人気に支持はされたが、あくまでも数カ月後に迫ったクラシックの舞台で活躍してくれるかもしれない。そんな程度だった。それよりも一足早く次代のヒーローになる予感を漂わせる逸材が関西の地に現れていた。

 前年、2歳の夏にデビュー、ここまで2着馬に10馬身、9馬身、7馬身と圧倒的な差をつけて勝利、その強さを見せつけて新しい年を迎えたテンポイント。この時点で今年のクラシック戦線は一強。ファン、とりわけ関西の競馬ファンは確信していた。


(続きは、8月25日発売の『優駿』9月号でお読みください。)

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