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今月の立ち読み

スペシャルインタビュー:武 豊

2016年にデビュー30年目を迎えた武豊騎手。ラニとのコンビで臨んだアメリカ三冠、エイシンヒカリでのイスパーン賞制覇、キタサンブラックでの天皇賞・春とジャパンC勝利など、国内外で存在感を示した。すでにベテランの域に達したトップジョッキーは何を思いながら競馬と向き合っているのか、節目の年を振り返ってもらった。


――昨年は1987年のデビューから数えて30年目となる節目の一年。どのようなお気持ちで迎えられましたか。

「30年目だからといって自分のやることは変わりませんから、なにか特別な力を入れて意識するということはありませんでした。『そうか、30年なんだな』という感覚で。同じ仕事を50年、60年と続けておられる年輩の方は日本全国に大勢いらっしゃいます。ただ、スポーツ選手として現役を30年続けるというのは長いですよね。ぼくは子供のころから騎手にあこがれて実際にその夢を叶えることができて、そして今も続けられていることは幸せだと思う。今、意識はしなかったと言いましたが、でも区切りの年だからこそ考えることもやはりありましたね。自分でも頑張って来たと思う部分もありますけれど、でも30年間続けてこられたのは周りの人たちが支えてくれたからこそというのは改めて感じながら騎乗を続けていました」

――2016年はラニでの米国トリプルクラウン競走への挑戦やエイシンヒカリでの欧州遠征、さらに秋も4年ぶりとなるブリーダーズCでの騎乗など、海外遠征が特に多く目立ちました。

「年頭から海外のレースが楽しみな年というイメージはありましたね。前年の暮れにエイシンヒカリで香港Cを逃げ切ることができて、海外への再遠征というのは視野にありましたし、カトレア賞で2勝目を挙げていたラニもUAEダービーを勝てばケンタッキーダービー参戦という話がすでに出ていたりしましたから。実際に2頭の遠征が実現して、プリークネスSからイスパーン賞、ベルモントSからプリンスオブウェールズSと日本に帰国することなくアメリカから直接ヨーロッパに渡る機会も2度あって、たった2分のレースのために鞍とムチを鞄に入れて飛行機を乗り継いで移動することがジョッキーとして誇らしく思えました。
イスパーン賞の行われたフランスでは20歳ぐらいの頃から毎年のように遠征して騎乗していますが、ジョッキールームのロッカーは遠征騎手の場所ではなくて、地元騎手と同じところを用意してもらっているんです。そうしたときにもふと自分がやってきた30年という時間の重みを感じる瞬間があったかもしれません」

――国内では9月18日の阪神競馬第4Rで、JRAでの勝利数にJRA所属馬での地方・海外の勝利数を加えた数字が4000勝に到達しました。もちろんこれは前人未到の数字です。

「4000勝の実感は…… 海外の馬に騎乗して勝ったレースを含めればすでに達成しているし、JRAのレースだけではまだ達成していないし、というのが本音で(笑)。これは少しわかりにくい記録でしたね。もともと、区切りの数字というものに対してはそれほど思い入れというのはないんです。だって、4000より4001のほうが良い数字なわけで、ひとつでも多いのが良い記録なわけですから。ただ、表彰していただいたり、注目してもらえればもちろん悪い気はしません。大勢の方にお祝いをしてもらったり、ジョッキー仲間からも声をかけてもらえたことは素直に嬉しかったですね」


(続きは、1月25日発売の『優駿』2月号でお読みください。)

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