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今月の立ち読み

不滅のライバル物語

Prologue
対決までの蹄跡


ブエナビスタ

デビュー戦から牝馬離れした能力を知らしめる

 母はビワハイジ、兄にアドマイヤジャパン、アドマイヤオーラという血統背景はもちろん、何よりその動きの良さで早くから評判になっていたブエナビスタのデビュー戦は、後に「伝説の新馬戦」と呼ばれるほどの好メンバーが揃っていた。アンライバルド、リーチザクラウン、スリーロールス。そんな強豪牡馬たちを相手にスローペースを後方3番手で追走したブエナビスタは、直線で鋭く追い込み3着。上がり3ハロンはメンバー中最速で、敗れはしたがその牝馬離れした能力の高さは十分に知らしめた。

 続く未勝利を楽勝したブエナビスタは、阪神ジュベナイルフィリーズへ。17分の6の抽選を潜り抜けて出走を叶えると、未勝利を勝ったばかりの身ながら1番人気に。レースでも、後方からの大外一気だというのに最後は2馬身半差の圧勝。レース史上初の母娘制覇を達成した。

 桜花賞前哨戦のチューリップ賞もやはり最後方近くから進んで完勝。ここまで牝馬には先着を許さず、新馬で先着されたアンライバルドとリーチザクラウンはそれぞれスプリングSときさらぎ賞を勝って、ともに皐月賞の有力馬(結局3、2番人気だった)と目されていた。

 この馬にとって、桜花賞は単なる通過点。そんな空気が、濃厚に漂っていた。


レッドディザイア

デビューは3歳までズレ込むも非凡さを示す

 レッドディザイアはクラブ法人の所属馬だが、総額1200万円は同時に募集された中では最も安い価格だった。母は7戦して新馬の1勝のみで、兄2頭はともに未勝利。父のマンハッタンカフェも初年度世代の活躍は地味で、まさにレッドディザイアらの活躍によってこの09年にリーディングサイヤーとなるが、それまでに出した2世代からは、結局GI馬は1頭も出なかった。

 2歳春の外傷や秋の疝痛など、その度に調整が遅れたレッドディザイアのデビューは、結局3歳1月にまでズレ込んだ。その新馬で披露した末脚は、どう見ても下級条件では終わらなそうな非凡さを示してはいた。しかしさらに明白に凄かったのが、2戦目のエルフィンSだった。

 内枠が仇となり前が詰まったレッドディザイアは、絶体絶命の位置で直線を向く。しかし、そこから馬群を縫うように抜け出し、はるか前方の先頭争いに追いつき、ついに交わしてしまったのだ。

 浅いキャリアや対戦馬に目立った実績馬がいないこと、リフレッシュ放牧を挟み桜花賞まで中8週という長さのローテーションなど、不安材料はあった。しかしそれ以上にレッドディザイアは、やっと出てきてくれた「ブエナビスタと未対戦の新星」なのだった。


(続きは、9月25日発売の『優駿』10月号でお読みください。)

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