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今月の立ち読み

不滅のライバル物語

Prologue
対決までの蹄跡


サクラバクシンオー

スプリントGIを制し、次は「マイルの壁」に挑む

 3歳時は、500kg近い立派な馬体とは裏腹に、脚元を含めて全体的な弱さがあり、思うような調教も積めず。それでも、レースで見せるスピードは明らかに一級品。母の兄がアンバーシャダイという血統でもあり、当初はクラシック有力候補に推す声も小さくないほどだった。

 転機は皐月賞トライアルのスプリングS。3番人気ながら、苦手な重馬場もあってミホノブルボンの12着。ここからきっぱりと短距離路線へ進むこととなる。

 以降はスプリントGIIIクリスタルCなどで勝利を重ねるが、一方でニュージーランドT4歳S(当時)などマイルでは相変わらず勝てない。GI初挑戦となった12月のスプリンターズS6着(結局、これが1400m以下では生涯唯一の敗戦)を最後に、脚部不安で休養に入った。

 復帰は4歳10月。ここからサクラバクシンオーは目覚ましい本格化を遂げる。過去の5勝はすべて逃げ切りだったが、この秋の3勝はヤマニンゼファーを一蹴した暮れのスプリンターズSを含め、すべて先行抜け出しによるものだった。

 堂々のGI馬となり、走りにも幅が出たサクラバクシンオーは、明けて5歳春、ダービー卿チャレンジT(当時は1200m)も楽勝。6戦未勝利の「マイルの壁」に挑むべく、安田記念へ向かった。


ノースフライト

重賞3連勝の勢いでマイルの頂点へ挑む

 牝馬離れした馬格のノースフライトだが仕上がりは遅く入厩は3歳2月、デビューは5月に。この未出走戦を9馬身差、続いて夏の小倉で足立山特別を8馬身差で圧勝すると、同じトニービンの初年度産駒ベガの三冠を阻むのはこの馬か、と俄かに注目が集まる。担当厩務員が当時は珍しい女性だったことも話題となった。

 ところが次の秋分特別は5着同着と凡走。中間の熱発や発情など、体調面の問題が敗因で、結局、これが生涯で連対を外した唯一のレースとなった。

 格上挑戦で臨んだ府中牝馬Sを制して賞金を加算、出走にこぎつけたエリザベス女王杯は、直線でいったん先頭。ベガの追い上げは封じたが、最後に脚が止まり、ホクトベガに差され2着と涙を飲む。

 以降はマイル路線を中心に歩むこととなったノースフライトは、暮れの阪神牝馬特別、明けて1月の京都牝馬特別、3月のマイラーズC(この年は中京)と重賞3連勝。特にマイラーズCはマーベラスクラウン、ネーハイシーザーといった牡(セン)馬を破る、中身の濃いものだった。

 そして迎えた安田記念。3連勝時の武豊騎手にはスキーパラダイスがおり、手綱は再び府中牝馬Sとエリザベス女王杯で騎乗した角田晃一騎手の元へ。マイル前後ならいまだ無敗。頂点が見えてきた。


(続きは、8月25日発売の『優駿』9月号でお読みください。)

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