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今月の立ち読み

不滅のライバル物語

Prologue
対決までの蹄跡


スティルインラブ

類い稀な瞬発力と抜群のレースセンスで評価を上げる

 2歳11月の終わりにデビューしたスティルインラブが、一気に牝馬クラシックの主役に浮上したのは、2戦目の紅梅Sを勝ってからだった。2番手から抜け出して圧勝した新馬とは一転、出遅れたスティルインラブは、しかし直線で圧巻の末脚を披露。阪神ジュベナイルフィリーズ4着などの実績がある実力馬シーイズトウショウをあっという間に置き去りにした瞬発力は、衝撃の一語だった。

 この世代の牝馬には4戦無敗の2歳女王ピースオブワールドという絶対的中心馬がいたが、同馬はチューリップ賞前に故障で戦線離脱していた。そのチューリップ賞でスティルインラブは、またもインパクトの強い走りを見せる。直線で前が壁になり、完全に行き場を無くす致命的な不利を受けるも、残り100m足らずで外に出すと、そこから猛追を開始。先に抜け出したオースミハルカをクビ差まで追い詰めた脚は、むしろ「負けて強し」を強烈に印象づけるものだった。

 類い稀な瞬発力。どんな展開でも力を発揮できる抜群のレースセンス。理想的なローテーション。桜花賞を前に入念なゲート練習も行った。ピースオブワールド不在の今、普通ならもう相手はいない。

 ただ1頭、異端のローテーションを歩む超良血馬アドマイヤグルーヴ以外には。


アドマイヤグルーヴ

デビュー以来3戦連続で牡馬を負かして牝馬クラシックへ

 高馬は走らないというジンクスは、00年セレクトセールで、当歳牝馬としては当時史上最高額(現在でも史上2位)の2億3000万円で落札された、このエアグルーヴの初仔には当てはまらなかった。

 2歳11月のデビュー戦は上がり3ハロン33秒台の末脚で楽勝。阪神ジュベナイルフィリーズを抽選で除外となり、出走した翌週の500万下、エリカ賞も完勝したアドマイヤグルーヴは、桜花賞前の一戦に皐月賞トライアルの若葉Sを選ぶ。距離的にオークスを意識したレース選択の結果だが、これで3戦連続で牡馬が相手。まさに常識外れのローテーションだった。

 その若葉Sで、アドマイヤグルーヴは牡馬たちをねじ伏せて勝利を収める。2着では賞金的に桜花賞は除外濃厚だっただけに、なおさらその勝負強さは光った。

 それでも、課題はあった。マイル戦の速い流れは未経験だし、馬体重はデビューから減り続け、なかなか強い調教ができずにいた。何より、祖母ダイナカールは不良馬場に泣き、追い込んで3着。母エアグルーヴは調教後の熱発で回避と、一族はなぜか桜花賞には縁がなかった。

 それでも、そんなもろもろをすべて跳ね返せるだけの器を、この馬は持っている。そんな期待とともに、話題の超良血馬は桜花賞へと向かったのだった。


(続きは、7月25日発売の『優駿』8月号でお読みください。)

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