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今月の立ち読み

不滅のライバル物語

Prologue
対決までの蹄跡


ウイニングチケット

前哨戦で圧巻のパフォーマンスをみせ、4連勝で本番へ

 生まれてすぐ牧場で見たときに何か感じるものがあった伊藤雄二調教師が、その場で預かることを決めたというエピソードの残るウイニングチケットだが、デビュー時は決して評判馬というわけではなかった。

 夏の函館の新馬は5着。2戦目で勝ち上がると、3戦目に暮れの中山開催の葉牡丹賞に出走。すごかったのは、ここでの勝ち方だった。9頭立ての最後方から進み3コーナーで一気に動くと、あっという間に独走態勢。結局後続に4馬身差、タイレコードでの圧勝劇を演じたのだ。

 続くホープフルSも圧倒的人気に応えて3馬身差で制すると、その垢抜けした好馬体もあり、完全にクラシックの本命候補に浮上。迎えた弥生賞も、離れた最後方から外を回って圧巻の差し切り勝ちを収めてみせた。シンボリルドルフの皐月賞レコードを1秒も上回るタイムでの勝利は、まさに衝撃だった。

 これで中山芝2000mを3連勝。ほぼ死角の見当たらない絶対の本命馬として、皐月賞へ臨むこととなったのだった。


ビワハヤヒデ

取りこぼすようなレースから一転、乗り替わりが奏功

 2歳9月のデビュー戦を大差で勝ったビワハヤヒデは、続くもみじS、デイリー杯3歳(現2歳)Sと2戦連続でレコード勝ちを収め、瞬く間に世代トップの評価を得た。迎えたGI朝日杯3歳(現フューチュリティ)Sは単勝1.3倍の断然人気。ところが、ここで外国産馬エルウェーウィンにハナ差競り負けたあたりから、その運命はねじれ始める。

 年が明け、やはり単勝1.3倍に推された共同通信杯4歳S(当時の表記)も粘る伏兵マイネルリマークをアタマ差捉えきれず、またも惜敗。後の活躍からは信じがたいが、早熟説や、スタミナ不足説まで囁かれた。

 もう負けられない。そんなムードで迎えた若葉Sで、陣営は鞍上を若い岸滋彦騎手から岡部幸雄騎手へとスイッチ。するとここ2戦が嘘のようにあっさり抜け出し、完勝を収めたのだった。

 ウイニングチケットを負かせるのは、まだ未対戦で、岡部騎手を新パートナーに得たこの馬しかいない。93年牡馬クラシック戦線は、そんな構図でついに初戦を迎えた。


ナリタタイシン

後方からの競馬を身に付け、クラシック戦線の有力馬に浮上

 デビュー戦は先行して6着。2戦目で勝ち上がったが、きんもくせい特別は直線で伸びずまたも6着。当初は激しい気性をうまくコントロールできずにいたナリタタイシンは、しかし徐々にその並外れた根性を鋭い末脚へと転化する術を学んでいく。

 福島3歳(現2歳)S、千両賞と連続2着で迎えたラジオたんぱ杯3歳S(当時の表記)は、道中最後方から直線一気の差し切り勝ち。一躍クラシック戦線の有力馬に浮上する。

 年明けはまずシンザン記念で2着。そして弥生賞、陣営は鞍上に武豊騎手を配してきた。ウイニングチケットの単勝3.3倍に対して3.5倍の2番人気は、それだけファンの期待も大きかったことを物語っている。

 しかしレースは、完敗の形となってしまう。後方2番手を進み、最後方のウイニングチケットと並んで仕掛ける真っ向勝負を挑むも、直線では離され、2馬身差の2着を確保するのがやっとだった。

 だが続く皐月賞で、ファンは知ることになる。この敗戦が決して無駄ではなかったことを。


(続きは、5月24日発売の『優駿』6月号でお読みください。また、付録のDVDには93年皐月賞、93年日本ダービー、93年菊花賞のレース映像が収録されています。)

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