ページの先頭です

今月の立ち読み

THE LEGEND OF HEROES サラブレッド・ヒーロー列伝

明け3歳の時点では、
まさに無名にほかならなかった。

 2008年春のクラシック戦線は、本番が近づくに連れて混迷の度合いを深めていった。前哨戦を経るごとに、群雄割拠の状態に拍車がかかったのだ。

《混戦クラシックをとことん楽しむ!》

 本誌における同年4月号の特集タイトルが、そうした傾向を端的に示している。

 それでも、牝馬にはまだ、前年の最優秀2歳牝馬にしてチューリップ賞2着のトールポピーがいた。桜花賞では8着と、1番人気を裏切ったものの、続くオークスでの戴冠はまだ記憶に新しい。

 一方の牡馬路線では、2歳王者のゴスホークケン、ラジオNIKKEI杯2歳Sの勝者・サブジェクトに代わって、弥生賞を3連勝で制したマイネルチャールズが注目を集めた。

 そのマイネルチャールズは皐月賞の1番人気に推されたが、単勝オッズは3.1倍、逆に最低人気を見ても79.5倍でしかなかった。つまり、18頭立てのフルゲートにもかかわらず単勝万馬券の存在しない状況を言い換えれば、「どの馬にもチャンスがある」とファンはとらえたのだ。実際にこの皐月賞は、単勝7番人気のキャプテントゥーレが逃げきり、馬連でさえが万馬券になった。マイネルチャールズは3着に敗れた。

 仮に、だ。外国のブックメイカーを真似て、08年の日本ダービーをどの馬が勝つか、年初の段階でオッズを付けるとする。先ほど名をあげた馬たちが高い評価を得るのは当然として、1月の半ばだというのに5戦0勝、同月26日の未勝利戦をようやく勝ち上がる3歳馬に、果たして単独でオッズは付くだろうか。賭ける人はいるだろうか。

 答はまずもって「ノー」だろう。それくらい、この馬の場合は頭角を現すのが遅かった。明け3歳の時点では、まさに無名にほかならなかった。

 だが、驚くほどの素質が、実は秘められていたのだ。体質強化が進むに連れ、走りは激変した。NHKマイルC、そしてダービーと、あのキングカメハメハに継ぐ「春の変則二冠」に輝くのだから、サラブレッドは、競馬は、本当にわからない。

 第75代のダービー馬・ディープスカイである。


(続きは、5月24日発売の『優駿6月号』でお読みください)

ページ上部へ